皆さんはこの路線を知っていますか?これは広島県広島市を走っている
新交通システムの一種です。新交通システムと言うと、ゆりかもめや大阪港
トランスポートシステム(通称:OTS)に代表されるように、モノレールに
近い形をしていますが、これはそんな常識を覆す全く新しいタイプの物です。
1.スカイレールの概要
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←左の写真をご覧下さい。右上の方にゴンドラのような車両が見えるのが分かるでしょうか?これがその新交通システム、「スカイレールサービス」です。これでも立派な鉄道なのです。 写真は2005年12月29日。みどり中央〜みどり中街間にて撮影。 |
ではこれについて説明しましょう。
これは、広島市の「瀬野」駅(貨物列車が勾配を登れないため、特別に機関車を使う地点、通称
「セノハチ」として有名な駅)を中心に再開発がなされた「スカイレールタウンみどり坂」
という新しい街の動脈となっている路線です。見ての通り山に囲まれたのどかな地域で、
訪れた時の景色と言ったら格別です。しかし、この山の中を一般鉄道はおろか、ケーブル
カーすらまともに走れる状況にありません。それほど急勾配な地域にあります。そんな
地域に公共交通を…、と言う事で作られたものが、この「スカイレール」と呼ばれる運輸
形態です。
これは神戸製鋼(株)が開発した運輸方式で、基本的には懸垂式のモノレールと同じ形を
しつつ、その動力にロープウェーのようにロープを使った物といえます。正式名称は
「ロープ駆動式懸垂型新交通システム」と言い、これの特徴が神戸製鋼ホームページに
次のように書かれていました。
<特徴>
1.経済性:建設費はAGT(いわゆる新交通システム)の約1/3。輸送力は2200人/時。
2.環境性:省スペース、低騒音
3.走行性:半径30mの急カーブにも対応可能で、登板性能は27%と急勾配に強い
登板27%というと、自動車であっても登るのに苦労するほどの急な坂道ですが、
これもロープを使うと言う事で可能にしています。また、軌道があることで、一般的な
ロープウェーには無いカーブと言う物も実現できています。
ではその車内を見てみましょう。
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ちょっと車内が暗いですが、我慢していただきたいです。これがその車内の写真となっています。写真下に見えるのは椅子で、両側に計8席。そして上方にはつり革が見えると思います。このように、一般的な車両に類した形となっていますが、基本がロープウェーであるため、かなり狭く、車両の定員もかなり少ないと言えます。 |
これだけ定員が少ない路線が、果たして鉄道と言えるの?と思う人もいると思います。
しかし、この路線は、約70秒に1本の電車を走らせる事が出来るため、トータルで見れば
一般的な新交通システム並の、上にあるような輸送力を持たせる事ができるそうです。
2.みどり坂線概要
さて、ここからは実際の路線を見ていきましょう。正式な路線名は「スカイレール
サービス みどり坂線」と言い、広島県広島市、「みどり口」駅〜「みどり中央」駅間の
約1.3kmを結ぶ、日本で唯一の「ロープ駆動式懸垂型新交通システム」です。平成10年に開業した路線で、
これの起点駅に当たる「みどり口」駅は、JR山陽本線の「瀬野」駅とつながっており、
ここからの乗り換え客が主要な人になっています。
→これがその「みどり口」駅です。山陽本線はこの後ろ側にあります。見た目はロープウェーの乗り場さながらですが、これが、新都市交通の起点駅となっています。 |
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こんな外観のスカイレールサービス、ぜひ中も見ていきましょう。
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←少しぶれていますがご勘弁ください。これは、みどり口駅の改札口付近です。右手に見えるのが券売機、左手に見えるのが改札口になっています。一応唯一の乗換駅とだけあって、駅員がいますが、他の駅には駅員はおらず、すべてこの駅で監視しています。ほかの駅で改札を破って入ったり、小児料金で入ったりすると、駅設置の警報機がなるそうです。一応悪いことはできないようになっています。 |
みどり坂線は、全長約1.3km。総駅数3駅の非常にちっぽけな路線ですが、日本の鉄道界に革命を起こしている
ことには変わりありません。路線図を下に示すと、
みどり口 ⇔ みどり中街 ⇔ みどり中央
(みどりぐち) 約3分 (みどりなかまち) 約2分 (みどりちゅうおう)
JR山陽本線乗り換え
(瀬野駅)
のようになっています。運賃は均一料金で、大人160円、子供80円となっています。均一料金のため出口での改札が
要らなくなり、そこでこの入り口の改札で切符が回収されてしまいます。こうした路線ですが、しっかりダイヤが組まれていて
、日中は15分に1本、ラッシュ時には7〜8分に1本の間隔で走っています。私が乗った時には、日中でも10分に1本
走っていた(はずな)ので、その時に比べると本数が減ったことになります。また、みどり口とみどり中央を電車が発車する
時間はまったく一緒なので、片方を覚えておけば問題なしです。また、所要時間は計5分なので、残りの10分は、軌道上を
何も走っていない時間が存在します。そのため、この間軌道上には静寂な時間が訪れますが、発車が近くなるとロープが
動き出すため、そのうなり音がし始めるおかげで、もうすぐ発車だということがわかります。
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これが実物の車両を近くから撮ったものです。まさにロープウェーそのものという感じですが、モノレールのようになっている事だけで、ここまでも扱いが違うのですね。周りの雑然とした感じも、やはりリフト乗り場を思い出してしまう。因みにこの付近では雪はそんなに降らないようで、私が行った時(12/29)もありませんでした。 |
さて、こんなみどり坂線の駅にはこんなオチがあります。
→トイレがありません。田舎の駅ではざらなことかもしれませんが、代わりに「公園のトイレを使え」とはまたなんともニュータウンらしい…。1駅に2枚ぐらいあるので、トイレは近くの公園へgo! |
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どうでしょうか?スカイレールサービス、少しは興味を持ってくれました?まだまだ知名度は低く、
こんな解説をしているようなページもあまりありません。ぜひこれに興味を持った人は、広島へ足を
運んでみてはいかがでしょうか?行ったらきっと、雄大な山に囲まれたこのニュータウンにほれ込むこと
間違いなしです。
行き方
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広島駅より山陽本線西条方面行電車に乗り、普通で6駅20分、快速シティライナーで1駅13分、
瀬野駅で下車すぐそこにみどり口駅があります。便利で早い、シティライナーの利用をお勧めします。
こんな感じで出てくる車両が見れるかも。写真はすべて2005年12月29日に撮影。